2008年12月29日
会報から(p13)
事務局便り 16
太田 雅雄
明けましておめでとうございます。
去年は事故米など食品の安全をめぐる状況が大変に注目された年でしたが、今年こそ好い年になりますことを祈念したいと思います。1年間よろしくお願いいたします。
1、日本酒銀座デモ
2008年9月27日の土曜日の午後2時、史上初の日本酒デモ行進が銀座1丁目から日比谷公園までを40分かけて行われました。
150名ほどの参加で、蔵元は10名程度で参加者の大部分は日本酒を愛する一般消費者が占めました(酒仙の会会員で参加した方もいます)。
10月1日の日本酒の日をアピールすることを目的に、愛知の「醸し人九平次」を醸造する萬乗醸造の久野九平次専務の発案で実現したものです。シュプレヒコールは「10月1日は日本酒の日」「皆さん日本酒を楽しみましょう」「ルールを守って飲酒運転撲滅」の3種類で、この模様は私も見て驚きましたが、夕方のテレビNHK首都圏ニュースでも紹介されました。主催者は、来年も実施するそうですから皆さんも参加してみてはいかがでしょうか。
2、焼酎用くず白高騰
今回のMA米がらみの事故米の事件から、焼酎用はもとより、清酒業界においても、MA米等の輸入米が一部に使われていたことが明らかになりましたが、そもそも、ここら辺のからくりについては、2000年10月22日に酒仙の会主催で行われた「義侠」山忠本家山田明洋社長の講演で生々しい事実が披露されましたので、聴講された方は記憶にあろうかと思います。
そのような影響もあって、今や、国産かけ米の数量はかつての10分の1以下にまで激減してきています。代わりに加工用米での供給はありますが、価格的には、輸入米のキロ130円レベルとは、倍以上の開きがありますので、経済酒中心の蔵は、原料米確保で大変ではないでしょうか。
一方、焼酎業界には、今回MA米代替用として他の加工業界と合わせて22000トンの17年産国産古米(過剰米=現物弁済米)の供給が決まりました(価格はキロ税込み134円程度)ので一息といったところですが、それでも、くず米市場は、ここにきて全般に上がり基調で推移しています(10月分の販売価格は表1参照)。なかでも焼酎用はこの2か月でキロ13円(1割増)と大幅なアップとなっています。
3、山古志米の純米酒復活
新潟県中越地震の発生から10月23日で、まる4年経ちましたが、長岡市の「お福酒造」では、地震で倒壊した酒造蔵を昨年10月に再建し、その新蔵で仕込んだ旧山古志村の棚田米使用「特別純米酒・山古志」の出荷が11月10日から始まりました。旧山古志村水田の完全復旧は、やっと今年(2008年)からです。
4、希少酒米復活
現在、全国で奨励品種から除外された酒造好適米が中小の酒造会社で珍重されています。希少性が高まったことで、むしろ「売り」につながって生産量も増えている品種もあります。
会でも2度お邪魔した弘前市の「豊盃」三浦酒造では、酒の銘柄名の「豊盃」の生産農家を今年2人から3人に増やすことで40トン以上の収量を確保する予定です。そもそも「豊盃」は1976年に県の奨励品種に指定されましたが、大粒系の「華吹雪」の登場により、わずか10年余りで県の指定銘柄から外されてしまいました。しかし、もともとこくのある酒造りに向き、今風の食べ物に合うということで、食中酒としての評価は高いものがあり、今後、増産が期待されるところです。同じ青森県では「田酒・喜久泉」西田酒造店が「古城錦」を手がけて復活米を消費者にアッピールしています。
山形県河北町にある和田酒造は、1981年で県の奨励品種から外れた「改良信交」を20年前から使っています。草履生産日本一を誇った河北町では、「改良信交」の長い茎が原料に重宝されていましたが、草履生産の衰退とともに「改良信交」の生産も倒伏しやすく造りづらいことから激減してしまいました。
今年は12トンを確保する予定ですが、お隣秋田県でも復活の兆しが見え始めています。 大手では唯一純米酒蔵になった「福正宗・黒帯・加賀鳶」福光屋と兵庫県産「フクノハナ」とのつながりは、多分相当な物語があるはずです。いつか蔵元にお伺いしてみたいものです。
最後の「強力」は鳥取県では大正時代から昭和20年代までの奨励品種でしたが、ここに来て県内6社が共同で復活させました。酒造会社と生産者が「強力をはぐくむ会」を結成して純粋種を維持し供給する独自の体制作りを進めています。なかでも、境港に面した「千代むすび・強力」は実に味のある旨酒に仕上がっていますのでお試し下さい。
酒仙の会ブログ
http://emshusen.livedoor.biz/


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